歯の裏側や、前歯の付け根に茶色い汚れが付いてくる。歯磨きでは落ちない。毎日お茶を飲むので、落としてもまた付く。
この状態になると、「どう落とすか」だけを考えるようになります。磨く力を上げ、それでも落ちないと諦める、という流れです。
ただ、茶渋には付く側の条件があります。しかもその条件は、多くの人が思っているものと違います。色の濃いお茶ほど付く、というわけではないからです。
ここでは、茶渋がどう定着するのかと、その手前で変えられることを整理します。
茶渋は、2つの段階を経て定着する
まず、歯に何が起きているのかを見ます。茶渋は一気に定着するのではなく、段階を踏みます。
① ペリクルに色素が付着する
歯の表面は、唾液に由来する薄い膜に覆われています。ペリクルと呼ばれるものです。
お茶に多く含まれるポリフェノールは、まずこの膜に付着します。ここで色素の沈着が起こります。膜の役割については「ホワイトニング後の食事は何を避ける?色と酸の2つの基準で判断する」で扱っています。
② 時間が経つと、歯の側と結びつく
そこからさらに時間が経つと、状態が変わります。
沈着した色素が、歯のエナメル質表面にあるカルシウムイオンと結合するとされています。この段階に進むと、着色汚れとして定着します。膜の上に乗っているだけの状態から、歯の側と結びついた状態へ移る、ということです。
効いているのは、強さではなく時間
この2段階が分かると、対処の考え方が変わります。
①の段階なら、日常のケアで届きます。 膜の上にあるうちに落とせば済むためです。
②に進むと、日常のケアでは届きにくくなります。 結びついた先が歯の側になっているためです。
つまり、茶渋が落ちにくくなるかどうかを分けているのは、磨く力ではなく、そこにあった時間です。この見方に切り替えると、力を上げる方向に進まなくて済みます。
付きやすい場所も、時間で説明できる
茶渋が目立つ場所には偏りがあります。歯の裏側、前歯の付け根、歯と歯のあいだ。 この偏りも、同じ理屈で説明できます。
ブラシが当たりにくい場所では、①の段階で落とされずに残ります。裏側や歯と歯のあいだは、当てているつもりでも届いていないことが多い場所です。
唾液の流れが届きにくい場所でも同じことが起きます。唾液には口の中を洗い流す働きがあるため、流れの弱いところでは色素がとどまる時間が長くなります。
表面に段差や凹みがある場所も残りやすくなります。歯石が付いていれば、その表面が足場になります。
つまり、付きやすい場所というのは色素が長くとどまれる場所のことです。ここでも効いているのは時間のほうです。
色の濃さでは判断できない
もうひとつ、茶渋に固有の性質があります。ここは直感と食い違います。
タンニンの量が決めている
茶渋の元になっているのは、お茶に含まれるタンニンというポリフェノールです。これがペリクルと結びつくことで着色汚れになります。
そして、タンニンの量はお茶の種類によって違います。
タンニンを多く含む側。 緑茶、烏龍茶、紅茶。これらは茶渋が付きやすく、着色につながりやすいとされています。
タンニンが少ない、あるいは含まない側。 ほうじ茶、そば茶、そして麦茶。麦茶はタンニンを含まないため、着色汚れになりにくいとされています。
麦茶は茶色いのに、付きにくい
ここが直感と食い違う部分です。
麦茶は見た目が茶色いにもかかわらず、着色汚れになりにくい側にいます。逆に緑茶は色が薄いのに、付きやすい側にいます。
つまり、見た目の色と、歯に付きやすいかどうかは一致していません。
「色の濃いものを避ける」の例外にあたる
飲食物と着色の関係は、通常は色の濃さを基準に判断できます。コーヒー、赤ワイン、カレー。この考え方は「ホワイトニング後の食事は何を避ける?色と酸の2つの基準で判断する」で整理しています。
お茶はこの基準の例外にあたります。 判断の材料が色ではなく、含まれている成分の側にあるためです。
「濃い色のものを避けているのに茶渋が付く」という状況が起きるのは、ここが理由です。
だから、やめずに減らす手がある
条件が分かると、対処の幅が広がります。お茶をやめるという判断にしなくて済みます。
常飲する分と、味わう分を分ける
1日に飲む量のうち、何気なく飲んでいる分を置き換えるという方法があります。
デスクに置いておくもの、食事中に飲むもの、水分補給のために飲むもの。この部分をタンニンの少ない側に寄せると、1日の総量が変わります。そのうえで、味わって飲みたい分は今までどおりにする。
やめるか続けるかの二択ではなく、内訳を変えるという考え方です。
濃く淹れるほど、量も増える
同じ種類のお茶でも、淹れ方によって含まれる量は変わります。濃く淹れたものほど、タンニンの量も多くなります。
濃さを少し落とすだけでも、触れる量は変わります。飲む回数を減らすより実行しやすい調整です。
売り場での選び方については「ホワイトニング後にコンビニで何を買う?売り場別の選び方と成分表示の見方」で扱っています。
装置が入っている場合は、条件が変わる
矯正の装置が入っている場合は、留まる場所が増えます。装置の周りやその境目は、ブラシが当たりにくく、唾液の流れも届きにくい場所になるためです。同じ量を飲んでいても、付き方が変わることがあります。
取り外せる装置を使っている場合は、外して飲むかどうかも条件に入ります。装着したまま色のあるものを飲むと、装置と歯のあいだに色素がとどまることになります。矯正中の扱いについては「マウスピース矯正中のホワイトニング|同時にできる理由と注意点」で扱っています。
段階が進む前に効くこと
前述のとおり、分かれ目は時間です。①の段階でとどめられれば、定着しません。
飲んだ後に、水を飲むかすすぐ
飲食のあとに歯を磨く、あるいは水で口をすすぐことを習慣にするのが、現実的で効果のある方法とされています。
外出先で歯を磨けない場面のほうが多いので、水を1口飲むだけでも成立します。口の中に残っている時間を短くすることが目的だからです。
触れている時間の長さも効く
見落とされやすいのが、飲み方です。
同じ1杯でも、短時間で飲み切る場合と、長い時間をかけて少しずつ飲む場合では、触れ続けている時間が違います。 デスクに置いて1時間かけて飲むという飲み方は、その分だけ①の状態が続くことになります。
量を減らすより、だらだらと飲む時間を短くするほうが、実行しやすく効きやすい調整になることがあります。
日常のケアの役割
歯磨きにも役割はありますが、その中心はすでに付いたものを落とすことより、これから付く分を減らすことにあります。この考え方については「歯の黄ばみを取る方法は?取れる黄ばみと取れない黄ばみの見分け方」で整理しています。
すでに定着している場合
②の段階に進んでいるものについては、日常のケアで戻すことはできません。
出発点になるのは、歯科医院での清掃です。専用の器具を使い、歯ブラシでは届かない部分の汚れや、自分では落とせない歯石を取り除きます。歯石が残っていると、その表面が着色の足場になるため、付く速さそのものが上がります。
ここで避けたいのが、落とす力を上げようとする方向です。強く磨く、研磨力の強いものを使う、家にあるもので擦る。この進み方が何を招くかについては「歯の黄ばみを取る方法は?取れる黄ばみと取れない黄ばみの見分け方」で扱っています。
そして、清掃で落ちるのは表面に付いたものまでです。歯そのものの色は別の話になります。生まれ持った色の話については「歯の黄ばみが生まれつきの場合、ホワイトニングで白くなる?由来別に見込みを整理」で整理しています。
清掃も「1回で終わり」にはならない
もうひとつ、考え方として押さえておきたい点があります。
茶渋は毎日付きます。だから清掃も、1回受けて終わるものにはなりません。落として、また付いて、また落とす。この繰り返しが前提になります。
そう聞くと徒労のようですが、間隔をどう置くかは自分で決められます。前述の条件を変えていれば、付く速さが落ちるぶん、次までの間隔を伸ばせます。逆に何も変えなければ、同じ速さでまた戻ります。
清掃は速さをゼロに戻す作業で、日々の条件はその速さそのものを決めている——この2つを分けて考えると、どちらもやる意味が見えてきます。周期の決め方については「ホワイトニングの頻度は?目安に幅がある理由と、自分の周期の決め方」の考え方が当てはまります。
よくある質問
カップに付く茶渋と、歯に付く茶渋は同じものですか?
元になっている成分は同じですが、付き方が違います。歯の場合は、唾液に由来する膜がまず色素を受け止め、そこから時間が経って歯の側と結びつくという段階を踏みます。カップと違って膜が入れ替わる仕組みがあるぶん、早い段階なら落としやすいということでもあります。
濃く淹れたお茶のほうが付きやすいですか?
濃く淹れれば、含まれるタンニンの量も多くなります。同じ杯数でも触れる量が変わるため、濃さを落とすことは調整のひとつになります。
茶渋が付きやすい人と付きにくい人がいるのはなぜですか?
歯の表面の状態と、唾液の量が関わります。歯石や細かい傷があると、色素が留まる足場が増えます。唾液は口の中を洗い流す働きを持つため、量が少ないと色素がとどまる時間が長くなります。同じものを飲んでいても差が出るのはこのためです。
毎回すすぐのが難しいのですが、どうすればいいですか?
すべての場面で実行する必要はありません。回数が多い場面から取り入れると効果が出やすくなります。1日に何杯も飲む職場での分だけ、水を1口足す。それだけでも1日の合計は変わります。
茶渋を落とせば歯は白くなりますか?
付いていたものが取れる分は明るくなりますが、それは元の色に戻るという意味です。歯そのものの色より明るくなることはありません。そこから先を目指す場合は、表面を落とす方法とは別の手段になります。
まとめ
茶渋は、2つの段階を経て定着します。①お茶のポリフェノールが歯の表面のペリクルに付着して色素が沈着し、②時間が経つとエナメル質表面のカルシウムイオンと結合して着色汚れへ変化するとされています。
だから分かれ目は、磨く力ではなく時間です。①のうちなら日常のケアで届き、②に進むと届きにくくなります。
そして、茶渋は色の濃さでは判断できません。タンニンを多く含む緑茶・烏龍茶・紅茶は付きやすく、タンニンを含まない麦茶は茶色くても付きにくいとされています。「色の濃いものを避ける」という通常の基準の、例外にあたります。
対処は、やめるか続けるかの二択ではありません。常飲する分をタンニンの少ない側に置き換える、濃さを落とす、だらだら飲む時間を短くする、飲んだ後に水を1口飲む。 どれも1日の合計を変える調整です。
すでに②に進んでいるものは、歯科での清掃が出発点になります。落とす力を上げる方向は逆効果です。そして清掃で戻るのは元の色までで、そこから先は別の手段になります。
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・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



