子どもの頃から歯が黄色い。着色を落とす方法をいくつか試しても変わらなかった。磨き方の問題ではないという感覚は、たいてい当たっています。
そこで止まってしまうのは、「生まれつき」という言葉がひとかたまりになっているからです。中身が分かれていることが知られていないため、自分が明るくなる側なのか、変わりにくい側なのかを判定できません。
結論から言えば、生まれつきの黄ばみのすべてが「どうにもならない」わけではありません。むしろ、薬剤が正面から相手にできる種類のものもあります。
ここでは、由来ごとに分けて見込みを整理します。
歯の色は、2つの層のバランスで決まっている
まず、歯の色がどう成り立っているかを押さえます。
歯は、表面を覆う半透明のエナメル質と、その内側にある黄色みがかった象牙質でできています。
このとき、私たちが見ている歯の色は、エナメル質そのものの色ではありません。半透明のエナメル質を通して、内側の象牙質の色が透けている——その結果として見えている色です。
だから、色を決めている変数は2つあります。象牙質がどのくらい濃いかと、エナメル質がどのくらい厚く、どのくらい透明かです。
厚みが変わると、見え方が変わる
エナメル質は、色ガラスのような単純な層ではありません。光を通しながら、同時に内部で散らす性質を持っています。
そのため、エナメル質が厚いほど、下の色は直接には出てきません。光が層の中で散らされて、白っぽい印象が乗ります。逆に薄いほど、内側の色がそのまま出てきます。
同じ濃さの象牙質を持っていても、覆っている層の厚みが違えば、見える色は変わるということです。「同じくらいの生活習慣なのに、人によって歯の色が違う」という感覚の一部は、ここから来ています。
そして、この2つは受け継がれる
ここが「生まれつき」の中身にあたります。
エナメル質の厚さや透明度、そして象牙質の色の濃さは、肌や髪の色と同じように遺伝によって受け継がれるとされています。エナメル質が薄い人や、象牙質の色が濃い人は、黄ばんで見えやすい傾向があります。
つまり「生まれつき黄色い」は、体質として実在します。磨き方が足りなかったわけでも、何かを怠ったわけでもありません。
生まれつきの黄ばみは、由来で4つに分かれる
ここからが本題です。「生まれつき」と呼ばれる状態は、由来で分けると4つあります。そして、薬剤が届くかどうかがここで変わります。
① 象牙質の色そのものが濃い
内側の象牙質が、もともと濃い色をしている場合です。エナメル質は通常の厚みがあり、その下の色が濃いために全体が黄色く見えます。
② エナメル質が薄く、象牙質が透けやすい
象牙質の色は標準的でも、覆っているエナメル質が薄い場合です。透けやすくなるぶん、内側の色が強く出ます。
③ エナメル質の形成が十分でない
エナメル質そのものが正常に作られなかった場合です。色だけでなく、白い斑点や、表面のでこぼこを伴うことがあります。①②とは性質が違います。
④ 形成期に取り込まれたものによる変色
歯が作られる時期に、成分が歯の構造の中に取り込まれた場合です。この場合は色が構造の一部になっているため、外側から薬剤を作用させても変わりにくくなります。代表的なものについては「テトラサイクリン歯はホワイトニングで白くなる?変色の程度別に見込みを整理」で扱っています。
分かれ目は「構造に組み込まれているか」
4つを並べると、線が引ける場所が見えてきます。
①②は、元々の色が濃い(あるいは透けやすい)というだけです。薬剤が作用する相手——象牙質の中の色素——は、そこにあります。
③④は、構造そのものに問題があるか、色が構造の中に組み込まれています。 薬剤を作用させても、相手が違うか、届き方が変わります。
「生まれつき」とひとくくりにされているものの中に、この線が入っています。
①②はどこまで明るくなるか
では、①②の場合はどうなるか。
①は、正面から相手にできる
薬剤が作用するのは、歯の内部にある色素です。仕組みについては「ホワイトニングの仕組みは?薬剤が色素を分解する過程と、効かないものがある理由」で扱っています。
①はまさにその色素が濃い状態なので、薬剤が働きかける対象そのものです。生まれつきであることは、効かない理由になりません。
②も明るくなる。透けてくる色が変わるから
②の場合、「エナメル質が薄いのだから、明るくしても意味がないのでは」と思われがちですが、そうではありません。
透けて見えているのは象牙質の色です。その象牙質が明るくなれば、透けてくる色も明るくなります。エナメル質の薄さは変わりませんが、見えてくる色は変わります。
ただし、透明感そのものは残る
ここは期待の置き場所として押さえておきたい部分です。
歯の先端は、その内側に象牙質がありません。エナメル質だけの部分です。そのため、明るくしても、この部分の透明感は残ります。灰色っぽく、透けて見える見え方は、薬剤では変わりません。
同じことは、色ではなく形や重なりから来る暗さにも当てはまります。この考え方については「歯並びが悪いとホワイトニングはできない?色ムラが出る理由と、目標の決め方」で整理しています。
つまり、全体が均一な白になるわけではありません。明るくなるのは、象牙質の色が支配している部分です。
到達点は、やはり歯の側で決まる
どこまで明るくなるかは、施術の回数ではなく歯の側の条件で決まります。生まれつき濃い場合、出発点が濃い分、到達する場所も人と同じにはなりません。ただしそれは「変わらない」という意味ではなく、自分の出発点からどれだけ動くかという話です。
段階の数え方については「ホワイトニングのレベルとは?シェードガイドの記号の読み方と、段階の数え方」で整理しています。始める前に記録しておくと、動いた分が分かります。
③の場合に起きること
エナメル質の形成が十分でない場合は、扱いが変わります。
色の入り方が均一になりにくい
エナメル質の状態が場所によって違うため、薬剤の作用の出方にも差が生まれます。全体が同じように明るくなるとは限りません。
もうひとつ起こりうるのが、白い部分が目立つようになることです。もともと白く濁った部分がある場合、周りが明るくなると、その差が今まで以上に見えることがあります。この点については「ホワイトニングはしない方がいい?言われる理由と、見送るべき人の見分け方」で扱っています。
明るくする以外の方向もある
③④のように薬剤で変わりにくい場合、表面を覆うという方向が検討されることがあります。歯の表面に薄い材料を貼る方法や、樹脂で覆う方法です。
これらは色を変えるのではなく、見えている面を置き換える処置です。削る量や、後から戻せるかどうか、色の安定性、かかる期間が薬剤とは違います。この比較については「テトラサイクリン歯はホワイトニングで白くなる?変色の程度別に見込みを整理」で整理しています。
見込みを先に確認しておく
③④に当たる可能性がある場合、始める前に見込みを聞いておくことが実際的です。「どのくらい変わりそうか」ではなく、「変わりにくい部分がどこか」を尋ねると、答えが具体になります。
自分がどれか、見当を付ける
最終的な判断は診てもらうことになりますが、手がかりはあります。
色は全体に均一か。 均一に黄色いなら①②の可能性が高くなります。部分的に濃い、薄いがあるなら③④の側です。
歯の先端が透けて見えるか。 先端が灰色や半透明に見える場合、エナメル質が薄めの傾向があります。②に当たる可能性があります。
横方向の縞模様があるか。 帯状に色の違いが並んでいる場合は④の特徴にあたります。
白い斑点や、表面のでこぼこがあるか。 ある場合は③の可能性があります。
家族に似た色の人がいるか。 受け継がれるものなので、①②であれば家族に同じ傾向が見られることがあります。
いずれも決め手にはなりませんが、自分がどのあたりにいるかの見当は付きます。そのうえで診てもらうと、話が早く進みます。
よくある質問
子どもの頃から黄色いのですが、磨き方が悪かったのですか?
磨き方とは別の話です。歯の色は、エナメル質の厚さや透明度と、象牙質の色の濃さで決まり、これらは受け継がれるものとされています。清掃で落とせるのは表面に付いた着色までで、内側の色には届きません。この区別については「歯の黄ばみを取る方法は?取れる黄ばみと取れない黄ばみの見分け方」で扱っています。
生まれつきの場合、回数は多くかかりますか?
出発点が濃い分、目標までの距離が長くなることはあります。ただし進む速さは濃度や方法の設計で変わり、回数だけで決まるものではありません。始める前に、どのあたりを目標にするかを決めておくと、途中で判断がぶれません。
明るくしても、また元に戻りますか?
明るさは永続しません。時間とともに戻る方向に進むため、維持のための施術を挟むという形になります。ただし、生まれつきだから戻りが早い、ということではありません。戻る速さに効くのは、飲食や喫煙といった日常の要因のほうです。
家族が全員同じような色です。期待できませんか?
受け継がれた色であっても、それが①②であれば薬剤の作用する相手はそこにあります。家族に同じ傾向があること自体は、変わらない理由になりません。ただし③④に当たる場合は見込みが変わるため、状態を診てもらったうえで判断してください。
子どもの歯が黄色いのですが、いつから相談できますか?
年齢そのものより、歯がどこまで成熟しているかで判断されます。生え変わった直後は永久歯のほうが濃く見えることもあり、それ自体は成長の過程で起こることです。この考え方については「高校生はホワイトニングを受けられる?年齢ではなく「歯の成熟度」で決まる理由」で扱っています。色が気になる場合、施術を受けるかどうかとは別に、状態を診てもらう相談は早い段階からできます。
年齢とともに濃くなっている気がします。
歯の色は年齢によっても変化するとされています。エナメル質は少しずつ薄くなり、内側の象牙質は厚みを増していきます。もともと透けやすい体質の場合、この変化が重なって見えやすくなることがあります。生まれつきの分と、経年の分が両方あるという状態です。
まとめ
歯の色は、半透明のエナメル質と黄色みがかった象牙質のバランスで決まります。エナメル質の厚さと透明度、象牙質の色の濃さは受け継がれるため、「生まれつき黄色い」は体質として実在します。磨き方の問題ではありません。
ただし「生まれつき」の中身は4つに分かれます。①象牙質の色が濃い ②エナメル質が薄く透けやすい ③エナメル質の形成が十分でない ④形成期に取り込まれたものによる変色。
①②は、薬剤が作用する相手がそこにあります。 ①は色素そのものが対象ですし、②も透けてくる色が明るくなることで見え方が変わります。生まれつきであることは、効かない理由になりません。
ただし、歯の先端など象牙質のない部分の透明感は残ります。全体が均一な白になるわけではなく、明るくなるのは象牙質の色が支配している部分です。
③④は見込みが変わります。 色の入り方が均一になりにくく、白い部分が目立つこともあります。この場合は、明るくする以外に表面を覆うという方向も検討されます。
自分がどれかは、色の均一さ・先端の透け方・縞模様・白い斑点・家族の傾向で見当が付きます。「生まれつきだから」で止める前に、どれに当たるかを確かめる価値があります。
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・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



