子どものころから、歯の色が周りと違っていた。年月が経っても変わらず、原因を調べる中で「テトラサイクリン歯」という言葉にたどり着いた。
ところが、そこから先が読めません。どのページも「ホワイトニングでは白くなりにくい」で終わっていて、その先が書かれていないためです。
白くなりにくいというのは、まったく変わらないということなのか。自分の場合はどこまで期待していいのか。判断の材料がないまま止まってしまいます。
ここでは、変色の程度による違いと、それぞれの見込みを整理します。
テトラサイクリン歯とは、歯の構造の中に色が組み込まれた状態
まず、何が起きているのかから。
テトラサイクリンは抗菌薬の一種です。歯がつくられている時期——おおむね0歳から12歳ごろ——に多量に服用した場合、その成分が歯に取り込まれることがあります。
取り込まれ方に特徴があります。黄色みを帯びたテトラサイクリンが、象牙質のカルシウムと結合するという形です。象牙質はエナメル質の内側にある層で、歯の色の大部分を担っています。
つまり、色が歯の一部としてそこにあるということになります。表面に付着したものでも、内部に蓄積した汚れでもありません。歯がつくられる過程で、構造の中に組み込まれた状態です。
この薬剤は昭和40年代に多量に使われていた時期があり、その世代に該当する方が多いとされています。現在は歯の形成期にあたる年齢への処方が避けられるようになっています。
歯の黄ばみには、表面に付いたもの・内部に蓄積したもの・構造に組み込まれたものがあります。この分け方については「歯の黄ばみを取る方法は?取れる黄ばみと取れない黄ばみの見分け方」で整理しています。
見分け方——縞模様の有無が最初の分かれ目
テトラサイクリンによる変色は、程度によって4段階に分けられます。
| 段階 | 色の特徴 | 縞模様 |
|---|---|---|
| 第1度 | 淡い黄色・褐色・灰色で、歯全体が一様に変色 | なし |
| 第2度 | 第1度より色が濃く、歯全体が一様に変色 | なし |
| 第3度 | 濃い灰色、青味がかった灰色 | あり |
| 第4度 | 全体的に着色が強い | あり |
ここで注目したいのが、右の列です。
分けているのは濃さだけではありません。第1度と第2度は「濃さの違い」ですが、第2度と第3度の間には縞模様が現れるかどうかという別の線が引かれています。
縞模様は、歯がつくられた時期の服用のタイミングを反映して現れるものです。層になって色が入っているため、横方向の帯として見えます。色の濃さが均一でないということは、明るくしていく過程でも均一に変化しないということを意味します。
ここが、後の見込みを分ける最初の分かれ目になります。
なお、自分がどの段階にあたるかは見た目だけでは確定しません。似た見え方をする変色は他にもあるためです。判断には、形成期の服用歴を含めた確認が要ります。
なぜ薬剤で変わりにくいのか
「白くなりにくい」と言われる理由を、仕組みから見ていきます。
ホワイトニングの薬剤は、エナメル質を通って歯の内部に届き、そこにある色素に作用します。分解の対象になるのは、後から蓄積した有機質の色素です。
テトラサイクリンによる変色は、ここが違います。色のもとが象牙質のカルシウムと結合した状態で存在しているためです。分解して取り除くという作用の相手として、前提が異なります。
つまり、薬剤が効かないのではなく、作用する相手が違うということです。同じ「歯の内部の色」でも、後から溜まったものと構造と結びついたものでは、進み方が変わります。
薬剤がどこにどう作用するのかについては「ホワイトニングの仕組みは?薬剤が色素を分解する過程と、効かないものがある理由」で扱っています。
そしてもうひとつ、色戻りもしやすいとされています。明るくなった後、元の方向へ戻る速さが通常より早いということです。維持まで含めて考える必要があるのは、この性質のためです。
どこまで期待できるか——程度別の見込み
では、実際にどの程度なのか。段階によって見通しが変わります。
第1度・第2度の場合
縞模様がなく、全体が一様に変色しているタイプです。
歯科医院での施術と自宅でのケアを組み合わせて半年ほど続けることで、変化を感じられる程度まで明るくなることがあるとされています。均一に色が入っているぶん、明るくなり方も比較的均一に進みます。
第3度・第4度の場合
縞模様があるタイプです。
1年ほど続けることで、全体的には明るくなるとされています。ただし、縞模様はうっすら残るとされており、模様そのものが消えるわけではありません。
全体が明るくなることで模様のコントラストは弱まりますが、「均一な白さになる」という結果を目指すものではないという点は、始める前に押さえておく必要があります。
共通して押さえておきたいこと
いずれの段階でも、通常より長い期間がかかります。回数も増えます。
期間が長いということは、その分の費用がかかるということでもあります。総額の考え方については「ホワイトニングの値段はいくら?予算別にできることと、総額の考え方を解説」で整理しています。
そして、ここに挙げた期間はあくまで一般に言われている目安です。変色の程度や歯の状態によって個人差があり、同じ段階でも進み方は一定になりません。実際にどの程度見込めるかは、診てもらったうえでの見立てを聞くことになります。
薬剤以外の選択肢
薬剤で明るくする方向とは別に、歯の表面を覆って見た目を変える方向の処置があります。「別のアプローチが検討される」と説明されるのは、多くの場合これらを指します。
ラミネートベニア。 歯の表面をごく薄く削り、そこに薄い板状のものを貼り付ける方法です。色を明るくするのではなく、別の色のものを表面に置くという考え方になります。
ダイレクトボンディング。 歯の表面に樹脂を盛って形と色を整える方法です。
この2つとホワイトニングは、費用や効果の大小ではなく、性質が違います。
- 歯を削るかどうか。 ホワイトニングは歯の形を変えません。表面を覆う方法は、程度の差はあれ歯に手を加えることになります
- 元に戻せるかどうか。 一度削った歯は元に戻りません。ホワイトニングは色が戻る方向に進みますが、歯そのものは変わりません
- 色の安定性。 覆う方法は素材の色が入るため、時間が経っても大きく変わりにくくなります。一方、周りの天然の歯は変化していくため、時間とともに差が出てくることがあります
- かかる期間。 覆う方法は比較的短い期間で見た目が変わります。ホワイトニングは長期間続ける形になります
表面を覆う方法には、それぞれ固有の注意点もあります。貼り付けたものや盛った樹脂は、欠けたり外れたりすることがあり、その場合は付け直しや作り替えという形になります。また、削った量によっては歯がしみることもあります。進める前に、どのくらい削るのか、外れた場合にどう対応するのかを確認しておくことになります。
どれが適しているかは、変色の段階と、その歯に何を求めるかで変わります。両方の説明を受けたうえで決めるのが現実的な進め方です。
進める前に確認しておくこと
長期間になる分、始める前の準備が結果に影響します。
自分の変色がこれによるものか。 見た目が似ている変色は他にもあります。歯がつくられる時期に何を服用していたかは本人には分からないことが多いため、保護者に確認できる場合は聞いておくと手がかりになります。
期間と回数の見通しを先に聞く。 通常のホワイトニングより長くなるため、どのくらいの期間を想定するのか、その間の通院がどう入るのかを最初に確認しておくと、途中で判断に迷いにくくなります。
途中経過を記録する。 これが特に重要になります。変化がゆるやかで期間が長いほど、自分では進んでいるかどうかが判定できなくなるためです。開始時の色を記号で記録しておくか、条件をそろえた写真を残しておくことになります。記録の読み方については「ホワイトニングのレベルとは?シェードガイドの記号の読み方と、段階の数え方」で整理しています。
しみる症状への配慮。 期間が長いということは、薬剤に触れる回数も増えるということです。症状が出たときの調整方法を先に聞いておくと、続けやすくなります。この点については「ホワイトニングで歯がしみるのはなぜ?仕組みと、症状が出たときの対処」で扱っています。
よくある質問
自分が何度にあたるかは分かりますか?
縞模様があるかどうかは、鏡でもある程度は見て取れます。ただし段階の判定は、色の濃さと模様の出方をあわせて見る必要があるため、診てもらったうえでの確認になります。似た見え方をする別の変色もあります。
今の子どもにも起こりますか?
現在は、歯の形成期にあたる年齢への処方が避けられるようになっています。過去に多量に使われていた時期があったことによる影響が、その世代に残っているという形です。
一度明るくなれば、戻りませんか?
戻る方向に進みます。しかもテトラサイクリンによる変色は、通常より色戻りが早いとされています。明るくした後をどう保つかまで含めて計画を立てることになります。
前歯だけでもできますか?
処置としては可能ですが、周りの歯との差が出ることがあります。全体が同じ原因で変色している場合、前歯だけ明るくすると隣との境目が目立つ形になります。どこまでを対象にするかは、見えている範囲を確認したうえで決めることになります。
まとめ
テトラサイクリン歯は、歯がつくられる時期に取り込まれた成分が、象牙質のカルシウムと結合している状態です。後から付いた着色ではなく、構造の一部として色がそこにあります。
変色は4段階に分けられ、第1度・第2度は一様な変色で縞模様がなく、第3度・第4度は縞模様があります。この模様の有無が、見込みを分ける最初の線になります。
薬剤で変わりにくいのは、効かないからではなく作用する相手が違うためです。分解の対象になるのは後から蓄積した色素で、構造と結びついた成分とは前提が異なります。加えて、色戻りも通常より早いとされています。
見込みとしては、第1度・第2度で半年ほど、第3度・第4度で1年ほど続けることで明るくなるとされていますが、後者ではうっすら縞模様が残るとされます。いずれも均一な白さを目指すものではなく、個人差もあります。
薬剤以外では、表面を覆う方向の処置もあります。費用や効果の大小ではなく、歯を削るか/元に戻せるか/色の安定性/かかる期間という性質の違いで比べることになります。
長期間になるからこそ、開始時の色を記録しておくことが判断の前提になります。
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・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



