旅行の土産物売り場や通販で、韓国の歯磨き粉を見かけることがあります。ホワイトニングをうたう製品が多く、目に留まりやすい部類です。
そして、こんな説明もよく見かけます。「韓国は規制が緩いから、日本のものより効く」。
ただ、その根拠は書かれていないことがほとんどです。何がどう違うのか分からないまま、産地だけで判断していいのかも決められません。
ここでは、日本と韓国で歯磨き粉がどう扱われているかを、公的な区分に沿って整理します。
「白くする」には2つの意味がある
前提を短く確認しておきます。
歯を白くすると言うとき、性質の違う2つのことが同じ言葉で呼ばれています。
表面に付いた着色を落とすこと。 コーヒーや茶による色が歯の表面に付着している状態から、それを取り除くものです。もとの歯の色に戻る方向の変化になります。
歯そのものの色を明るくすること。 歯の内部にある色素に薬剤を作用させて、もとの色より明るくするものです。
歯磨き粉が担うのは、前者です。この区別については「歯の黄ばみを取る方法は?取れる黄ばみと取れない黄ばみの見分け方」で整理しています。
この前提を置いたうえで、区分の話に入ります。
日本では歯磨き粉がどう区分されているか
日本で流通している歯磨き粉は、化粧品か医薬部外品のいずれかに区分されます(どちらにも当たらない雑貨として扱われるものもあります)。
分かれ目は、承認された有効成分が入っているかどうかです。
医薬部外品は、厚生労働省が承認した有効成分を配合したものです。その成分に応じて、表示できる効能の範囲が決まります。「歯を白くする」という表示ができる場合もありますが、その意味は表面の着色を落とすことであって、もとの歯の色より明るくすることではありません。
化粧品として扱われるものは、清掃や口臭の防止といった範囲で表示されます。
つまり日本では、歯磨き粉というカテゴリの中で「歯そのものを漂白する」ことは想定されていないという構造になっています。表示の言葉が同じでも、指している中身が違うということです。
韓国では「医薬外品」として扱われている
では韓国はどうか。ここが本題です。
韓国では、歯磨き剤は医薬外品という区分で扱われています。所管は食品医薬品安全処です。
そして、この区分の範囲を定めた告示には、具体的な要件が示されています。歯磨き剤とは、歯を白く丈夫に保ち、口の中を清潔にし、歯や歯ぐき・口腔の疾患を予防する目的の製品で、次のいずれかに当たるものとされています。
- フッ素が1,500ppm以下であること
- 過酸化水素が0.75%以下であること(過酸化水素を放出する化合物や混合物を含む)
ここが重要です。過酸化水素0.75%を超えるものは、この区分から外れます。
つまり、韓国側にも上限が定められているということです。「規制がないから強い製品が出回っている」という説明は、この告示の内容とは合いません。歯磨き剤として扱われる範囲には、はっきりと線が引かれています。
日本と韓国で違うのは、区分の名前と、そこに引かれた線の位置です。どちらも「歯磨き粉なら何を入れてもよい」という状態にはなっていません。
数字を比べるときに気をつけること
0.75%という数字を見ると、歯科で扱う薬剤と比べたくなります。ここに注意点が2つあります。
桁が違う。 歯科医院を通して渡される自宅用の薬剤は過酸化尿素10%程度、施術で使われるものは過酸化水素35%といった濃度です。歯磨き剤の上限として示されている0.75%とは、そもそも比べる対象になりません。
成分が違う。 過酸化尿素と過酸化水素は別の成分です。過酸化尿素は分解して過酸化水素になりますが、その過程を経るぶん作用の現れ方が変わります。数字を横並びにしても意味のある比較になりません。この点については「オパールエッセンスとは?製品ごとに違う区分と濃度を整理して解説」で扱っています。
そしてもうひとつ。濃度は使用時間とセットで設計されています。歯磨き粉は1回に数分しか口の中に留まりません。同じ成分でも、留まる時間が違えば起きることも変わります。この考え方については「ホームホワイトニングのジェルとは?成分と濃度の考え方、入手経路の見分け方」で整理しています。
個人輸入で手に入れる場合のルール
日本で正規に流通していない製品を、通販などで取り寄せる場合の話です。ここには決まりがあります。
個人の使用に供するためのものに限られます。 自分で使う分だけ、という前提です。
他人への譲渡・販売は認められていません。 個人輸入したものを人に売ったり譲ったりすることは、法律で禁止されています。家族に分けるという場面も、この範囲に入りうるという点は知っておく必要があります。
数量にも目安があります。 化粧品については24個以下とされています。
未承認のものについては、輸入確認証が必要になる場合があります。 日本国内で承認・認証を受けていない医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器を輸入する際の手続きです。
整理すると、国内で正規に流通しているものと、個人輸入で取り寄せたものでは前提が違います。前者は日本の区分の中で審査や届出を経ていますが、後者はその過程を通っていません。何かあったときの相談先も変わります。
海外製の製品全般の注意点については「ホワイトニングは自宅でどこまでできる?市販品と歯科の違い・効果の限界を解説」で扱っています。
産地ではなく、何を見て判断するか
ここまでを踏まえると、判断の軸が見えてきます。どこの国の製品かは、軸になりません。日本にも韓国にも区分があり、それぞれ線が引かれているためです。
見るべきものは3つです。
① どの区分の製品か。 日本国内向けに流通しているものであれば、化粧品か医薬部外品かの表示があります。日本語の表示がない、あるいは輸入品として並んでいるものは、国内の区分を通っていない可能性があります。
② 何が入っていて、それが何をするものか。 着色を落とす方向の成分なのか、漂白する方向の成分なのか。パッケージの言葉ではなく、成分の欄で確認することになります。
③ 自分が何を目的にしているのか。 ここが実のところ決め手になります。表面に着色が付いているのか、もとの歯の色そのものを変えたいのか。前者であれば歯磨き粉が対象になりますし、後者であれば歯磨き粉のカテゴリでは目的に届きません。
目的が定まっていないまま製品を比べても、判断の基準ができません。産地や表示の言葉より先に、自分の歯に何が起きているかを確かめるほうが早く答えにたどり着きます。
成分の欄で見るところ
②について、もう少し具体的に。歯磨き粉の成分表示は項目が多いので、見る場所を絞ると早くなります。
着色を落とす方向のもの。 研磨剤や清掃助剤にあたる成分、着色を浮かせる働きを持つ成分がここに入ります。作用するのは歯の表面で、付いているものを取り除く方向の変化になります。
漂白する方向のもの。 過酸化物にあたる成分です。歯磨き剤としての上限は前述のとおりで、歯科で扱う濃度とは水準が違います。
どちらでもないもの。 フッ素、殺菌成分、知覚過敏を抑える成分、香味や保湿の成分。これらは色に直接関わりません。表示の多くはここに属するため、目を止めなくてよい部分です。
研磨の強さは、毎日使うものだからこそ効いてくる
もうひとつ、見落とされやすい点があります。
着色を落とす働きは、多くの場合物理的にこすることで成り立っています。研磨の力が強いほど着色は取れやすくなりますが、歯の表面も一緒に削られる方向に働きます。
歯磨き粉は毎日、1日に複数回使うものです。1回あたりの影響は小さくても、積み重なる前提で考える必要があるという点で、たまに使う製品とは性質が違います。表面が削れると、その下にある層の色が透けやすくなり、かえって暗く見えることもあります。この仕組みについては前述の黄ばみの記事で扱っています。
海外製の製品は、日本の製品と研磨に関する設計の考え方が異なる場合があります。強く磨くほど白くなるという発想で選ばない、という点は産地にかかわらず共通します。
よくある質問
韓国で買ってきたものを日本で使っても問題ありませんか?
個人が自分で使う範囲であれば、個人輸入の枠組みで扱われます。ただし他人への譲渡・販売は認められていません。また、日本の区分を通っていないため、成分や表示の意味は現地の基準に沿ったものになります。含まれている成分を確認したうえで使うことになります。
白くならないということですか?
表面に付いた着色であれば、落ちる方向の変化は起こりえます。これは日本の製品でも同じです。届かないのは、歯の内部の色に作用する部分です。「効かない」のではなく、働きかける相手が違うということです。
歯科でのホワイトニングと併用できますか?
施術の期間中に何を使うかは、進め方によって変わります。研磨の強いものや刺激の強いものは、時期によって避けたほうがよい場合があります。併用を考えている場合は、使っているものを伝えて確認してもらうのが確実です。
家族と分けて使ってもいいですか?
個人輸入したものについては、他人への譲渡は認められていません。家族であっても、輸入した本人以外が使う形は避けることになります。国内で正規に流通しているものであれば、この制約はありません。
まとめ
韓国のホワイトニング歯磨き粉について、「規制が緩いから効く」という説明を見かけますが、韓国側にも上限は定められています。
韓国では歯磨き剤が医薬外品として扱われ、その範囲を定めた告示にフッ素1,500ppm以下、または過酸化水素0.75%以下という要件が示されています。0.75%を超えるものは、この区分から外れます。
日本では歯磨き粉が化粧品か医薬部外品(または雑貨)に区分され、医薬部外品では承認された有効成分に応じて表示できる効能が決まります。違うのは区分の名前と線の位置であって、どちらも制限がない状態にはなっていません。
そして0.75%という数字は、歯科で扱う濃度とは桁が違います。過酸化尿素と過酸化水素という成分の違いもあるため、数字を横並びに比べることもできません。
個人輸入で取り寄せる場合は、自分で使う分に限られ、他人への譲渡・販売は認められていません。
判断するときに見るべきなのは産地ではなく、どの区分の製品か/何が入っているか/自分が何を目的にしているかの3つです。
大阪梅田矯正歯科のホワイトニング
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



