ホワイトニングについて調べていると、数字と記号が並んだ表記が出てきます。「A3からA1へ」「2〜3段階のトーンアップ」といった書き方です。
なんとなく、数字が小さいほうが白いのだろうとは分かります。ところがその先が読めません。自分が今どこにいるのか、2段階上がるとどこに着地するのか。表記の意味が取れないまま、数字だけが並んでいる状態になりがちです。
ここでは、記号が何を表しているのかと、「段階」の数え方を整理します。
「レベル」は2つの意味で使われている
まず、言葉の整理からです。ホワイトニングの文脈で「レベル」と言うとき、2つの別々のものを指しています。
① 今の歯の色を指す記号。 A3、B2といった表記がこれです。現在地を表します。
② どれだけ明るくなったかという移動量。 「2段階上がった」という言い方がこれです。移動した距離を表します。
この2つが混ざるため、話が噛み合わなくなります。「A3です」と言われたときに分かるのは現在地だけで、そこからどこまで動けるかは含まれていません。逆に「2段階明るくなります」と言われたときに分かるのは移動量だけで、着地点は出発点によって変わります。
現在地と移動量は、別々に確かめる必要があるということです。まず記号のほうから見ていきます。
記号の読み方——アルファベットは色の系統、数字は濃さ
歯の色を測るときには、シェードガイドという色の見本を使います。広く使われているものには、16段階の色が並んでいます。
記号は、アルファベットと数字の組み合わせでできています。それぞれ意味が違います。
アルファベットは「色の系統」
歯の色は、明るいか暗いかだけでは表せません。同じくらいの明るさでも、赤みが強いものと灰色っぽいものがあります。アルファベットは、この色みの方向を表しています。
| 記号 | 色の系統 |
|---|---|
| A | 赤褐色系 |
| B | 赤黄色系 |
| C | 灰色系 |
| D | 赤灰色系 |
グループごとに用意されている段階の数も違います。Aは5段階(A1・A2・A3・A3.5・A4)、BとCは4段階、Dは3段階(D2・D3・D4)です。
数字は「そのグループの中での濃さ」
数字は、同じグループの中で数字が大きいほど色が濃いことを表します。A1よりA4のほうが濃い、という関係です。
ここで押さえておきたいのが、この比較が成り立つのはグループの中だけだという点です。AとBのように系統が違えば、数字の大小をそのまま比べることはできません。
番号の順と明るさの順は一致しない
ここが、記号を読むうえで見落とされやすいところです。
16段階の色を明るい順に並べ替えると、次のようになります。
B1 → A1 → B2 → D2 → A2 → C1 → C2 → D3 → A3 → D4 → B3 → A3.5 → B4 → C3 → A4 → C4
記号の順に並んでいません。いくつか具体的に見ると、性質が分かります。
- B2とD2は、A2より明るい。 数字は同じ「2」ですが、位置は前に来ます
- C1はA2より暗い。 数字は小さいのに、明るさでは後ろに来ます
- 列の先頭に来るのはA1ではなくB1です
つまり、色相グループをまたぐと、数字の大小だけでは明暗が読めないということになります。
だから「何段階」は、番号の差ではない
この並びが分かると、「段階」の意味がはっきりします。
「何段階明るくなった」と言うときの段階は、明るい順に並べたこの列の中での移動量です。記号の数字の差ではありません。
たとえばA3からA2へ動いた場合、記号の上では「3」が「2」になっただけに見えます。ところが明るい順の列で見ると、A3は9番目、A2は5番目です。4つ分の移動があったことになります。
逆に、記号が大きく変わったように見えても、明るさの移動としては小さいこともあります。記号の変化と段階の数は、別々に見ることになります。
日本人の平均はどのあたりか
自分の現在地を考えるうえでの目安です。
日本人の歯の色は、A3からA3.5程度が平均的とされています。若い世代ではA2からA3が多く、加齢とともにA3.5からA4へと濃くなる傾向があるとされています。
年齢とともに濃くなるのは、エナメル質が薄くなり、その下にある象牙質の色が透けやすくなるためです。着色が付いたのではなく、もともとある内側の色が見えやすくなるという変化です。
ただし、平均は目標ではありません。平均より濃いから施術が必要というものでもなければ、平均まで戻すのが正解というものでもありません。自分の現在地を知るための座標として使うものです。
ガイドの範囲を超えた白さ
シェードガイドの16段階には収まらない、B1よりさらに白い色があります。ブリーチシェードと呼ばれる領域です。
これはガイドの外側にあたるため、16段階の記号では表せません。写真などで見かける非常に明るい歯は、この領域にあることがあります。
目標のレベルを決めるときに効いてくること
ここまでを踏まえると、目標の立て方が見えてきます。
段階は移動量であって、到達点ではありません。 同じ「3段階」でも、出発点がA3の人とA2の人では着地する場所が違います。「何段階上がる」という数字だけでは、目標を決められないということです。
そして、どこまで動けるかを決めているのは、方法ではなく歯の側です。
- 変色の原因。 飲食による着色が中心なのか、歯の内部の色が関わっているのかで、動ける範囲が変わります
- エナメル質の厚み。 薄いと下の象牙質の色が透けやすく、薬剤で分解できる色素の量にも限りがあります
この点については「オフィスホワイトニングとは?1回でどこまで白くなるか・費用・通う回数を解説」で、到達点が人によって変わる理由を扱っています。
目標を立てるときは、「どの記号を目指すか」から入るより、今どこにいて、自分の歯ではどこまで動く見込みがあるかを確認するほうが現実的な形になります。
記号だけでは決まらないこと
もうひとつ、押さえておきたい前提があります。
記号が表しているのは、色の1点だけです。実際の見え方は、それ以外の要素にも左右されます。
歯の形と並び。 表面の凹凸や重なりがあると、光の当たり方が変わって陰影が出ます。同じ色でも、陰になる部分があれば暗く見えます。
唇や肌の色。 歯は単独で見られるものではなく、周囲との対比で明るさが判断されます。
照明。 自然光の下と室内照明の下では、同じ歯でも見え方が変わります。写真や動画では、さらに条件が加わります。式や撮影の場面で色の見え方が変わる条件については「ブライダルホワイトニングはいつから?前撮りがある場合の組み方と当日までの流れ」で扱っています。
つまり、同じ記号でも印象は一定になりません。記号は測るための道具であって、仕上がりの見え方そのものを表すものではないということです。
自分のレベルは、自分では測れない
最後に、測り方の話です。
鏡を見て自分の記号を当てるのは、実際には難しいことです。理由が2つあります。
記憶が更新されるため。 毎日自分の歯を見ていると、少しずつ変化しても差を感じにくくなります。出発点の記憶が現在の状態に引きずられていくため、後から「どのくらい変わったか」を思い出しても判定になりません。
条件がそろわないため。 照明、角度、時間帯。どれかが違うだけで、見え方は変わります。
だから歯科医院では、施術の前にシェードガイドを歯に当てて記録します。この記録があるかどうかで、後から振り返れるかが決まります。写真を残す場合も、条件をそろえて撮ることが前提になります。この点については「ホームホワイトニングで白くならないのはなぜ?原因の切り分け方と確認の順序」で扱っています。
よくある質問
どのレベルを目指せばいいですか?
記号から決めるより、今の状態を測ってから考えるほうが現実的です。出発点によって、同じ記号でも必要な期間や回数が変わります。また、周囲との対比や照明で見え方が変わるため、記号だけで仕上がりを決めることもできません。
何段階上がるかは事前に分かりますか?
見込みは立てられますが、確定はしません。変色の原因やエナメル質の厚みによって動ける範囲が変わるためです。診てもらったうえでの見立てを聞いておくと、実際の進み方との差が小さくなります。
上がったレベルは戻りますか?
時間の経過とともに、元の方向へ戻っていきます。戻る速さには個人差があり、飲食の習慣によっても変わります。周期の考え方については「ホワイトニングの頻度は?目安に幅がある理由と、自分の周期の決め方」で整理しています。
詰め物や被せ物もレベルが変わりますか?
変わりません。薬剤が作用するのは天然の歯の内部にある色素で、人工物はその色素にあたるものを持っていないためです。天然の歯だけが明るくなるため、記号の上では差が開く方向に進みます。前歯に人工物がある場合は、始める前に位置と数を確認しておくことになります。
まとめ
ホワイトニングの「レベル」は、今の歯の色を指す記号と、どれだけ明るくなったかという移動量の2つの意味で使われています。この2つを分けないと、数字を見ても意味が取れません。
記号は、アルファベットが色の系統(A=赤褐色系/B=赤黄色系/C=灰色系/D=赤灰色系)、数字がそのグループの中での濃さを表します。数字の大小を比べられるのは、同じグループの中だけです。
そして、記号の順と明るさの順は一致しません。明るい順に並べると B1・A1・B2・D2・A2・C1… となり、B2やD2はA2より明るく、C1はA2より暗い位置に来ます。「何段階明るくなった」の段階は、この明るい順の列での移動量であって、記号の数字の差ではありません。
日本人の平均はA3からA3.5程度とされ、若い世代はA2からA3、加齢とともに濃くなる傾向があります。B1よりさらに白い領域は、ガイドの範囲を超えたところにあります。
目標を立てるときに効いてくるのは、段階が移動量であって到達点ではないという点です。どこまで動けるかを決めているのは方法ではなく歯の側なので、記号から入るより、今どこにいて自分の歯ではどこまで動く見込みがあるかを確認するほうが形になります。
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・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



