ホワイトニングについて調べていると、「詰め物は白くなりません」という一文に行き当たります。
ここで止まってしまうことがあります。受けられないという意味なのか、受けても意味がないという意味なのか、それとも詰め直しが要るという意味なのか。 どれなのかが書かれていないからです。
結論から言えば、詰め物があってもホワイトニングは受けられます。決めることになるのは、施術の可否ではなく、その詰め物をどう扱うかのほうです。
ここでは、色が合わなくなる仕組みと、素材や位置によって扱いがどう変わるかを整理します。
受けられる。変わるのは「詰め物をどうするか」
まず、詰め物があること自体が施術の妨げになるわけではありません。
薬剤が作用するのは天然の歯の内部にある色素です。詰め物にかかっても、その色を明るくすることはありません。変わらない、というだけです。
そのため、施術を受けるかどうかの判断材料としては、次の1点に絞られます。
明るくなった歯と、色が変わらない詰め物のあいだに差ができたとき、その差をどうするか。
差が気にならない位置なら、そのままにする選択があります。気になる位置なら、詰め直して色を合わせる選択があります。どちらを選ぶかは、詰め物の素材と、口の中での位置で変わります。
色が合わなくなる方向は、2つある
ここで押さえておきたいことがあります。色が合わなくなる方向は、1つではありません。
① 歯のほうが明るくなる
よく説明されるのがこちらです。ホワイトニングで天然の歯が明るくなり、色が変わらない詰め物が相対的に濃く見えるようになります。
② 詰め物のほうが濃くなっている
見落とされやすいのがこちらです。保険で使われる白い詰め物(レジン)は、時間とともに色が変わっていきます。理由は複数あります。
吸水性がある。 レジンは水分を吸う性質があり、そのときに色素も一緒に取り込みます。
表面が摩耗して粗くなる。 歯磨きや噛む力によって表面がすり減ると、細かい凹凸ができます。粗くなった面は色素が留まりやすくなります。
素材そのものが変化する。 紫外線や酸化の影響で、黄ばみが出ることがあります。
色を持ち込む飲食物は、天然の歯を着色させるものと同じです。コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、たばこ。何がどう作用するかは「ホワイトニング後の食事は何を避ける?色と酸の2つの基準で判断する」で扱っています。
その変色は、落ちるものか落ちないものか
詰め物の色が変わって見えるとき、中身は3つに分かれます。ここを分けておくと、対応も分かれます。
表面に付いた着色。 粗くなった表面に色素が留まっている状態です。この場合は、研磨することで改善することがあります。詰め直しの前に試せる段階があるということです。
素材の内部まで進んだ変色。 吸水や経年変化によるものは、素材そのものの色が変わっています。表面を磨いても戻りません。
詰め物と歯の境目が黒く見えている場合。 これは着色とは別のことが起きている可能性があります。境目に隙間ができていたり、その下で問題が進んでいたりすることがあるためです。色の話ではなく、詰め物自体を見てもらう場面にあたります。
見た目からこの3つを自分で見分けるのは難しい部分です。ただ、「磨いて済むかもしれない」「素材の色が変わっている」「色とは別の話かもしれない」という3つの可能性があると知っておくと、相談の入り口が変わります。
実際には、両方が同時に進んでいる
この2つは別々に起きるものではありません。入れた当初は色が合っていた詰め物も、歯のほうが年齢とともに濃くなり、詰め物のほうも着色していくという形で、両側から少しずつずれていきます。
つまり、時間の経過だけでも、色は合わなくなっていきます。ホワイトニングをしなくても、いずれその時期は来ます。
この見方をすると、詰め直しの位置づけが変わります。ホワイトニングによって生じた新しい負担ではなく、いずれ来るものが前に来たということになるからです。
素材で扱いが変わる
詰め物と一口に言っても、素材によって振る舞いが違います。ここは優劣ではなく、性質の違いとして見ると判断しやすくなります。
レジン(保険で使われる白い詰め物)。 前述のとおり着色します。一方で、歯を削る量が少なく、詰め直しの工程も比較的軽く済みます。詰め直しは1回で終わることが多いとされています。寿命は一般に5〜7年程度といわれますが、噛み合わせや歯磨きの習慣によっては10年以上そのまま使えることも少なくありません。
セラミック。 表面がガラス質のため水分や色素を取り込みにくく、長期間でも色が変わりにくい素材です。ただし詰め直す場合は、型を取って製作する工程が入るため、レジンのように1回では完結しません。
金属(銀歯)。 色は変わりませんが、そもそも天然の歯と色を合わせる対象ではありません。判断は「見える位置にあるかどうか」だけになります。
保険が使えるものと自費のものがあり、詰め直しの費用の考え方も変わります。何が保険の範囲かについては「ホワイトニングに保険は使える?適用外の理由と、保険でできること」で整理しています。
位置で判断が変わる
素材と並んで効いてくるのが、口の中での位置です。同じ差でも、見える場所かどうかで意味がまったく変わります。
前歯。 会話でも笑ったときにも見えます。差が出れば気づかれる位置です。
小臼歯(前から4番目・5番目)。 ここが判断の分かれ目になります。大きく笑ったときに見える人と、ほとんど見えない人がいます。口角の開き方には個人差があるためです。
奥歯。 通常の会話や笑顔ではほぼ見えません。差ができても実際の見え方に影響しないことが多い位置です。
自分がどこまで見えるかは、鏡を見るだけでは分かりにくい部分です。普段の笑顔で撮った写真を見返すと判断しやすくなります。鏡の前では意識して口角が上がるため、実際より広く見えていることがあります。
面積も、目立ち方を決めている
もうひとつ効いてくるのが、詰め物の面積です。
同じだけ色の差があっても、面積が小さければ目立ちにくくなります。 歯の噛む面に入っている小さな詰め物と、前歯の表側を広く覆っている詰め物とでは、同じ差でも見え方がまったく違います。
そのため、判断は「詰め物が何個あるか」ではなく、見える位置に、どのくらいの面積で入っているかで考えるほうが実際に近くなります。数が多くても小さいものばかりであれば、差が問題にならないこともあります。
詰め直すかどうかは、機能上の交換とは別の判断
ここが混同されやすいところです。詰め物を替える理由には、性質の違う2つがあります。
機能上の理由で替える場合
こちらは色とは関係のない軸です。目安として挙げられているのは次のようなものです。
- 詰め物の周囲が黒くなっている
- 詰め物の縁が欠けている
- 再びむし歯になっている
逆に、見た目の色が少し変わっただけで、詰め物と歯のあいだに隙間がない場合は、交換の必要がないとされています。機能としては働いているためです。
色をそろえる目的で替える場合
ホワイトニングに伴う詰め直しは、こちらにあたります。機能上は問題がなくても、見え方をそろえるために選ぶという位置づけです。
この2つを分けて考えると、判断がはっきりします。機能上の目安に当てはまるなら、色の話とは別に替える時期が来ているということです。逆に当てはまらないなら、替えるかどうかは見え方をどう考えるか次第で、急ぐ性質のものではありません。
診てもらうときも、「この詰め物は機能として替え時ですか、それとも色の問題だけですか」と分けて聞くと、答えが返ってきやすくなります。
順序と、作り替えの規模
詰め直しを選ぶ場合、ホワイトニングが先で、詰め物が後という順序になります。歯の色が決まってからでないと、合わせる先が決まらないためです。
この順序と、施術のあとに間を空ける理由については「虫歯があるとホワイトニングはできない?治療との順序と、始められる時期」で整理しています。
ここで、詰め物ならではの点があります。詰め物は作り替えを前提にできるということです。
人工の歯のなかでも、土台から作り直しになるものは、順序を誤ったときの手戻りが大きくなります。この違いについては「インプラントがあるとホワイトニングはできない?順序と、すでに入っている場合の選択肢」で扱っています。
詰め物の場合は、そこまでの規模になりません。だからこそ、「先にホワイトニングをして、色が決まってから考える」という進め方を取りやすいという性質があります。詰め物があることが、始める前に決着をつけなければならない条件にはならない、ということです。
色を合わせるときは、シェードガイドという色の見本を使います。記号の読み方については「ホワイトニングのレベルとは?シェードガイドの記号の読み方と、段階の数え方」で扱っています。到達した色を記録しておくと、詰め直しのときに伝えやすくなります。
よくある質問
詰め物が多いのですが、受ける意味はありますか?
天然の歯が残っている面積によります。詰め物の面積が大きい歯では変化を感じにくくなりますが、口の中の全体で見れば天然の歯のほうが多いことがほとんどです。前歯に大きな詰め物が入っている場合は、施術前に見え方の見通しを確認しておくと想定とのずれが減ります。
詰め物の部分だけを白くする方法はありますか?
薬剤で色を変えることはできません。色を変えたい場合は、詰め直すという方法になります。表面を研磨して着色を落とすことで改善する場合もあるため、詰め直しの前に相談してみる価値があります。
銀歯はホワイトニングで変わりますか?
変わりません。金属は薬剤の作用を受けないためです。ただし奥歯であれば見える場面が限られるため、そのままにするという判断も普通にあります。気になる場合は、色の話とは別に、詰め物自体の替え時が来ているかを確認するところから始まります。
詰め直した後にまたホワイトニングをしたら、もう一度合わなくなりますか?
天然の歯だけが明るくなるため、差は生じます。ただし1回目ほど大きくならないことが多く、詰め直した素材によっても変わります。維持のための施術を続ける予定がある場合は、その予定も含めて詰め直しの時期を相談しておくと無駄が出にくくなります。
詰め直しに保険は使えますか?
詰め物そのものの治療は、素材や状態によって保険の範囲に入ることがあります。一方でホワイトニングは自由診療です。同じ歯でも、扱いが分かれる場合があります。どこまでが保険かは診てもらったうえで確認してください。
まとめ
詰め物があってもホワイトニングは受けられます。薬剤は詰め物の色を変えないというだけで、施術の妨げにはなりません。
色が合わなくなる方向は2つあります。歯のほうが明るくなることと、詰め物のほうが濃くなっていることです。レジンは吸水と摩耗と経年変化で着色していくため、両側から少しずつずれていきます。つまり時間の経過だけでも、いずれ合わなくなります。
扱いは素材と位置で変わります。レジンは着色するかわりに詰め直しが軽く、セラミックは色が変わりにくいかわりに製作の工程が入り、金属は色を合わせる対象になりません。位置は、普段の笑顔の写真で見え方を確認すると判断しやすくなります。
詰め直すかどうかは、機能上の交換とは別の判断です。周囲が黒い・縁が欠けている・再びむし歯という目安に当てはまるなら替える時期が来ています。当てはまらないなら、替えるかどうかは見え方をどう考えるかの問題で、急ぐ性質のものではありません。
順序はホワイトニングが先、詰め物が後です。詰め物は作り替えを前提にできるため、始める前にすべてを決めておく必要はありません。
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・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



